息がしづらい、呼吸が詰まる、ちょっと動いただけで息切れするなどの症状は、日常生活の中で誰でも経験することがあります。しかし、その原因は単なる疲労やストレスだけでなく、呼吸器や心臓の病気、貧血や精神的要因まで多岐にわたります。以下では、息苦しさの原因を整理し、呼吸器内科で診察できる代表的な病気や症状の特徴、受診の目安について解説します。
息苦しいなどの不調は早めの改善が重要です
息苦しさや息切れは、呼吸器疾患だけでなく、心臓の病気や貧血、精神的な要因でも起こります。
症状の特徴や伴う症状を整理することで、原因の見当をつけやすくなるでしょう。
咳や痰、血痰、夜間の息苦しさなどが続く場合は、早めに呼吸器内科を受診して原因を特定し、適切な治療や生活管理を行うことが大切です。
息苦しさを感じる原因
息苦しさは、呼吸器や心臓の病気だけでなく、体内の酸素不足や精神的な影響でも起こります。
症状の種類や発生状況によって、原因の特定が可能で、早期に適切な治療を受けることが重要です。
呼吸器の病気
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患では、気道が炎症や狭窄を起こし、息苦しさを感じやすくなります。
特に、咳や痰がしつこく続き、呼吸が浅くなる、胸が重く感じるといった症状を伴うことがあります。
これらの症状は、体を休めるだけでは改善せず、呼吸器専門の診察や治療が必要です。
心臓の病気
心臓の働きが弱まると、血液を通じて酸素が十分に体内に届かず、息切れや呼吸のしづらさを感じます。
心不全や心筋梗塞、高血圧による心臓への負担なども原因です。
息苦しさに加えて、胸の痛みや圧迫感、手足のむくみが現れることがあります。
これらの症状は、放置すると命に関わる可能性があるため早めに受診してください。
鉄欠乏性貧血
体内の鉄分が不足すると酸素を運ぶ赤血球が減少し、息切れや疲労感を覚えます。
特に階段の上り下りや軽い運動で息が上がる場合は、貧血が隠れていることがあります。
めまいや頭痛、手足の冷えなどの症状を伴うことも多く、健康診断や血液検査で確認できます。
精神的な要因
過度の不安や緊張によって呼吸が浅くなると、過換気症候群として息苦しさが現れることがあります。
いわゆる過呼吸と言われるもので、それ以外にも精神的な要因で息苦しさを感じるケースは少なくありません。
例えば、パニック障害では突然の動悸やめまいに伴って呼吸困難が生じ、短時間で強い息切れを感じます。
こうしたケースは、呼吸器だけでなく精神科や心療内科での診療も有効です。
呼吸器内科で診察する主な病気と症状
息苦しさが長期間続く場合、呼吸器疾患が原因となっているケースが多くあります。
ここでは、呼吸器内科で扱う代表的な病気と、症状の目安を紹介します。
息苦しさの他に咳や痰が続く場合
息苦しさと併せて咳や痰が続く場合、喘息やCOPDの可能性があります。
喘息では、ホコリや煙、冷たい空気などの刺激で激しい咳が出るとともに、呼吸困難や胸の圧迫感が生じます。
COPDは長年の喫煙が主な原因で、慢性的に咳や痰、息切れが続きます。
これらの症状は、日常生活で軽視されがちですが、進行すると生活の質に大きく影響するため、早めの診察が欠かせません。
微熱やだるさを伴う息苦しさ
風邪などの症状がなく、微熱や倦怠感を伴う呼吸の不調は肺結核や肺炎の可能性があります。
肺結核では、咳や痰、微熱、倦怠感が長く続くことがあります。
肺炎では、発熱や胸痛、呼吸困難などの症状が現れ、特に高齢者は高熱が出ない場合もあるため注意が必要です。
2週間以上症状が続く場合は、必ず呼吸器内科で検査を受けましょう。
血が混じった痰と息苦しさ
血痰などの症状がある場合、肺結核や肺がんの可能性があります。
血痰は自覚しやすい症状ですが、風邪と似た症状の中で見落とされることもあります。
咳や息切れが長引き、血痰が出る場合は、迷わず呼吸器内科での検査が必要です。
夜間の息苦しさ
寝ている間に息苦しさを感じたり、起きてしまったりする場合、喘息や睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
喘息の発作は夜間や早朝に起きやすく、昼間に症状がなくても就寝中に息苦しくなることがあります。
睡眠時無呼吸症候群では、寝ている間に一瞬呼吸が止まり、息苦しさで目が覚めるということも少なくありません。





