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痰(たん)が良く出る、血痰が出る

痰の中に血が混じると、何か深刻な病気ではないかと不安を感じてしまうと思います。実際に、血痰は一時的な風邪や軽い気道の炎症で出ることもありますが、重大な疾患の兆候である可能性も考えられます。特に、咳が長引く、痰が粘っこい、血の量が増えているといった症状がある場合は、必ず受診して検査を受けるようにしましょう。

血痰とは?

血痰とは、その名の通り「痰の中に血液が混ざった状態」を指します。

白や透明の痰の中に赤い線が混じる場合もあれば、血の塊のように見えることもあります。

混じっている血の色の濃さや量によって、原因が軽度の炎症か、重大な病気かの目安になることもあります。

とはいえ、血痰が出る原因はさまざまで、必ずしも大きな病気であると確定したわけではありません。

肺や気道からの出血による「喀血」、胃や腸からの出血による「吐血」、あるいは歯茎や鼻の出血が痰に混ざって見えることもあります。

どの部位から出血しているかを正確に把握することが、適切な診断や治療につながります。

なぜ血痰が出るのか

風邪や気管支炎などで気道が炎症を起こすと、痰の量が増え、粘り気が強くなるため違和感や不快感を覚えます。

炎症で気道の細い血管が傷つくと、咳やくしゃみの刺激で血が痰に混じることがあります。

血痰の多くは、こうした炎症が原因で発生しますが、肺がんや肺結核、気管支拡張症などの深刻な疾患が背景にある場合もあります。

風邪や軽度の気管支炎による血痰は症状が治まれば自然に消失しますが、血痰が長期間続いたり、繰り返す場合は、必ず呼吸器内科で原因を調べることが大切です。

血痰が続く場合に疑われる病気

血痰が長期間続いたり、量や色が変化したりする場合には、重大な疾患が潜んでいることがあります。

以下では、特に注意すべき呼吸器系の病気を紹介します。

肺がん

肺がんは肺や気管支、肺胞に発生する腫瘍で、初期にはほとんど症状が現れないことが多いです。

そのため、咳や血痰が出始めて初めて気付く方も少なくありません。

進行すると胸の痛み、呼吸困難、体重減少など血痰以外の不調も現れます。

がんは早期発見・早期治療が鉄則です。

40歳以上の方、特に喫煙習慣のある方は定期的に検査を受けるようにしてください。

肺結核

結核菌に感染することで発症する肺結核も、血痰の原因になり得ます。

初期は風邪に似た咳、痰、微熱が現れますが、病気が進行すると血痰が出ることがあります。

症状が長引く場合や、夜間の発汗や倦怠感を伴う場合は、早期の診察と検査が重要です。

気管支拡張症

気管支拡張症は、気管支の壁が広がって傷つき、元の形に戻らなくなることで起こる病気です。

大量の痰が日常的に出ることが多く、血痰も頻繁に見られます。

慢性的な咳や呼吸のしづらさを伴うことが多いため、症状が続く場合は早めに検査を受けて治療につなげましょう。

その他の疾患

肺真菌症、肺塞栓症、非結核性抗酸菌症などの疾患も、血痰が出ることがあります。

また、血液をサラサラにするお薬を服用している場合、出血しやすくなるため血痰が増えることがあります。

血痰の原因を調べるための検査

血痰の原因を正確に特定するためには、症状や既往歴をもとにいくつかの検査を組み合わせて診断をすることが原則です。

喀痰細胞診検査

喀痰細胞診検査は、痰の中に異常な細胞や細菌が混じっていないかを調べる検査です。

特に肺がんの早期発見に有効で、繰り返し検査を行うことで見逃しを防ぎます。

胸部画像検査

レントゲンやCTで肺や胸部の状態を観察し、炎症や腫瘍、肺塞栓の有無を確認します。

病変の位置や大きさを把握することで、次の検査や治療方針を決めやすくなります。

その他の検査

血痰が見られる場合、血液検査や呼吸機能検査で炎症や血液凝固状態を確認します。

必要に応じて気管支鏡を用いた検査を行い、気道内部や肺の奥の異常を直接観察することもあります。

血痰が続いたら早めの受診を

風邪や軽い気道炎症による血痰は、症状が落ち着けば自然に治ります。

しかし、咳や痰、微熱などの症状が長引き、血痰が続く場合は、肺がんや肺結核、気管支拡張症など深刻な病気が原因の可能性があります。

 

症状が続く場合や繰り返す場合は、自己判断せず必ず呼吸器内科を受診してください。

特に40歳以上や喫煙習慣のある方は、早期の検査・診断を強くおすすめします。