胸の痛みを感じると、誰でも不安になると思います。胸の痛みは、右側、左側、中央と痛む位置によって原因が異なり、呼吸器系の病気や心臓、消化器、筋肉などさまざまな可能性が考えられます。
そもそも胸の痛み=「胸痛」とは?
胸痛とは、胸周辺に感じる痛みの総称です。
人によって胸の辺りがズキズキする、チクチクとした痛みを感じる、締め付けるような感覚があるなど、種類や強さはさまざまです。
こうした痛みは、肺や気管支、胸膜に問題がある場合に現れることが多く、放置すると重篤な問題に発展してしまうこともあるかもしれません。
とはいえ、胸痛の原因=必ずしも呼吸器の病気とは限らず、心臓や消化器、筋肉なども関与することがあります。
そのため「呼吸器の異常かどうか」を見極めることが診断の第一歩になります。
痛みを感じる場所別、考えられる原因
胸痛は右・左・中央で原因が変わります。
痛みの位置によって疑われる病気を理解しておくことで、受診時に症状を正確に伝えやすくなります。
右胸に痛みを感じる際に考えられる疾患
右胸が痛む場合、右肺に関係する病気全般が疑われます。
例えば、肺炎や胸膜炎になると咳や呼吸時に痛みが増すことが多く、ズキンとする感覚が出ます。
また、右肺に発生する肺がんや結核も胸痛の原因となる場合があり、慢性的な咳や痰、発熱がある場合には早めの検査が必要です。
右胸の痛みは、呼吸器疾患が関わるケースが特に多いことを理解しておきましょう。
左胸の痛みと注意すべき病気
左胸の痛みが気になる場合、呼吸器疾患だけでなく心臓の病気も疑う必要があります。
肺炎や胸膜炎の場合は右胸同様の痛みが出て、深呼吸や咳で悪化することがあります。
左肺に発症する肺がんも、進行すると胸痛や咳、血痰などを伴うことがあります。
心臓に近い部位ということもありますので、左胸の痛みは特に注意が必要です。
胸の中央の痛みと関連する疾患
胸の真ん中が痛む場合、気管支や縦隔の炎症が考えられます。
気管支炎では咳に伴い痛みが出やすく、長引く咳は胸筋の疲労を招きます。
縦隔炎は発熱や呼吸困難を伴う強い中央部の痛みが特徴で、早期診断が求められます。
また、逆流性食道炎など消化器系疾患でも中央の胸痛が現れることがあり、呼吸器・消化器の両面で診断が必要になることもあります。
呼吸器内科に相談してほしい、胸痛の症状
呼吸器内科で扱う胸痛の原因はさまざまですが、早い段階での治療が必須となるものとしては肺炎、気胸、胸膜炎、肺塞栓症、肺がんなどがあります。
肺炎では発熱や咳とともに呼吸時の痛みが出やすく、気胸は突然の片側胸痛と呼吸困難が特徴です。
胸膜炎は呼吸や体動で痛みが増し、肺塞栓症では急激な胸痛や息切れが現れます。
進行した肺がんでは、咳、血痰、体重減少などの特徴も見られます。
胸の痛み以外にも、こうした違和感がある場合は必ず受診してください。
胸痛を感じたときの過ごし方
胸痛が出た場合は、まずは無理をせず呼吸しやすい姿勢で安静にしましょう。
前かがみや横向きで呼吸が楽になるかもしれません。
また、室内が乾燥している場合は咳込みによる胸痛の悪化を防ぐためにも、加湿器で湿度40〜60%を保つようにしましょう。
きちんと加湿されたお部屋で過ごすことが、呼吸器の負担軽減につながります。
また、市販の鎮痛薬で痛みを和らげることも可能ですが、原因が不明な場合は自己判断せず、早めに医療機関で診断を受けるようにしてください。
呼吸器内科で行う検査と診断の流れ
胸痛でお悩みの患者様が来院された際は、原因を特定するために問診や聴診、胸部レントゲン・CT、血液検査、呼吸機能検査などを行い、検査結果を組み合わせて診断します。
必要に応じて喀痰検査や気管支鏡検査を行い、肺や胸膜の状態、炎症や血栓の有無を詳しく確認することもあります。
胸の痛みだけで判断をするのではなく、それ以外の症状もしっかりと確認した上で複数の検査を組み合わせることで、正確な診断につなげます。
胸痛は早めの受診が大切
胸の痛みは、決して軽視してはいけない症状の一つです。特に「呼吸で痛む」「咳や深呼吸で悪化する」「突然の痛み」といった場合は呼吸器の病気が関係することが多く、放置していると大きな問題に発展する可能性もありますので、自己判断せず必ず受診してください。早めの診断・治療が、症状悪化の防止につながります。





